2012年3月15日木曜日

県立入試問題に一言 ~全体として~

今年の県立入試問題について、今日の信濃毎日新聞にも出ていましたが、数学に限らず全体として難しい教科が多かったように感じます。

平均点としては英語が例年並で、それ以外の教科は平均点が低いと思われます。

普段のテストより点数が上がっている子はほとんどいなくて、どの子も不安一杯です。
卒業式を不安だらけで楽しく迎えられないのは本当に残念です。


最近の子ども達は塾に通う子も増え、模試など試験問題に触れる機会が増えている傾向はありますが、それでも多くの子は学校で行われる定期テストや総合テストだけでテスト体験をしています。そして、学校のテストでは今までの入試傾向を意識して作っているはずです。今回のように大きく傾向を変えたことには疑問を感じます。

今年の試験はどの教科も今までの設問形式とは大きく変えてきました。
確かに新指導要領をはじめとして国際的な学力傾向を意識して、思考力、考察力、読解力、まとめる力、組み立てる力などに重点を置き始めてはいますが、学校現場ではそこまで行っていないのが現状でしょう。学校で行われているテスト問題を見ていれば分かります。

どの教科も記述式の問題が増え、まぐれ当たりはなくなりました。しかしながら選択式でも選択肢が文章であれば読み取る力も問うことができます。意外と4分の1のまぐれ当たりなど少ないのです。
それ以上に、記述式の問題は時間がかかり子ども達にはプレッシャーとなります。子ども達は焦ったと思います。

テスト問題を評価する時に平均点のことが注目されますが、もう一つ重要な視点があります。
それは個々の問題の正答率のバランスです。
良いテストは平均点を中心にして得点の分布がきれいな山になります。
これはテスト問題を作るときに正答率がほぼ100%の問題から数%の問題までをバランスよく配置することです。こうしないと得点分布の山が2つ3つとできてしまい、似たレベルの子が受ける入試の様な場合には、それぞれの高校で得点が一極に集中して1点に泣く子が増えてしまうのです。

私が大手テスト会社でテスト問題に携わっていた時には、今までに実施した問題のデータベースを基に一問一問の正答率を予測し、正答率のバランスを考慮して一問一問の正答率を調整して、求められる平均点になるようにテストを作っていました。同じ問題でも言い回しを少し変えるだけで10%くらいの正答率は変わります。そして、結果が予想平均点から5点以上ずれると営業から文句が来たものでした。
今回のテストの得点分布はどうなるのでしょう?


県立の入試問題は全国に公開されますので、全国の現場の教育関係者の目にさらされます。
特に新学習指導要領の移行時期などは注目されます。作成者も力が入ったことでしょう。

テスト問題作成には県内の優秀な先生が何人もチームになって作ると聞いています。
教科へのこだわりをもつ優秀な先生ほどついつい、学問の専門家としての視点が強くなってしまい、学問的には面白い問題でも、現場の状況に即してみたり、初めて合否が進路を大きく左右する試験にのぞむ子どもたちの感情に即してみると良い問題ではない場合があります。

【子ども達に本来の力を存分に発揮させられる問題】

そんな原点に立ち返ってもらいたい。子どもたちを預かる一教育者としてお願いしたいところです。

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