最近、子ども達の口からよく聞く言葉に『ムリー』というのがあります。
『無理』という言葉の意味は、
①道理のないこと。理由のたたないこと。
例:無理を通す。無理を言う。
②行いにくいこと。するのが困難なこと。
例:無理な頼み。子どもには無理だ。
などです。
会話でよく使うのは②の意味ではないでしょうか。つまり、『できない』ということです。ところが、子どもたちはこんな使い方をします。
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「じゃあ、次は○○をやってみよう」
「ムリー」
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どうやら、『できない』ではなく、『いや』という意味で使っているようです。やりたくないことを「ムリー」と言っているのです。
『いや』というのは好き嫌いの判断ですが、『できない』は言外に『やりたいんだけど…なのでできない』=『しかたない』というニュアンスを含んでいます。
「いや」と言えば「いやがらないでやりなさい」と言われますが、「ムリ」と言えば親はあまり強く言えないのではないでしょうか。つまり、子どもは子どもなりに親の言葉をうまくかわすための術を身につけているのです。
しかし、『ムリ』を便利な言葉として子どもの口癖にはしたくないものです。
『できない』は、何か自分の力ではどうしようもない要因のせいにしていることが多いのです。
時間がないから、
時間がかかるから、
分からないから、
力がないから、
そしてしまいには
面倒くさいから、やりたくないから…
となってしまいます。
『ムリ』の言葉のせいでせっかくの壁を乗り越えるチャンスをつぶすようなことにはなって欲しくないものです。
子どもから「ムリー」が出てきたらこんな質問をしてみてください。
「じゃあ、どうすればできるようになる?」
「できない原因は何?」
便利な言葉は深く考えずに無意識に何となく使っています。できなくさせているものが何なのかを明確にしてあげるのが効果的なのです。『ムリ』にさせているものに気づいて解決できれば『ムリ』ではなくなるのです。
ところで、実はおとなも『できません』を便利に使っていることがあります。皆さんはいかがでしょう。子どもはそんなおとなの言葉を真似ているのかもしれません。
わたしも心当たりがあります。気をつけたいと思います。